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第5回 エネルギーのこれから(第2期) 開催報告

2019年11月28日
第5回は、講師に工藤拓毅氏、竹内 純子氏を迎え、「エネルギーのこれから」というテーマで講義いただきました。

工藤 拓毅氏
(一財)日本エネルギー経済研究所理事、電力・新エネルギーユニット担任。エネルギー需給分析・予測、地球温暖化政策、新・再生可能エネルギー政策、省エネルギー政策、温暖化政策関連の国際標準化が専門。元UNFCCCのJISCメンバー。東京大学や麻布大学で非常勤講師。ISO/TC207/SC7国内委員会委員長、政府審議会委員や地方自治体、民間の委員会委員を数多く務める。

竹内 純子氏
NPO法人国際環境経済研究所理事・主席研究員
U3イノベーションズLLP 共同創業者・代表取締役
独立の研究者として地球温暖化対策とエネルギー政策の研究・提言、理解活動に携わると共に、サステナブルなエネルギーを潤沢に得られる社会への変革を目指し、U3イノベーションズLLPを立ち上げ。政府委員も多数務めるほか、「みんなの自然をみんなで守る20のヒント」(山と渓谷社)、「誤解だらけの電力問題」(WEDGE出版)、「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」(日本経済新聞出版社)など著書多数。

今夏の台風19号は関東地域にも大きな被害をもたらしました。実際に千葉県等では長期間に渡る停電が発生し、多くの方にとって、エネルギーの大切さについて考える契機となったかと思います。
しかし、これだけ生活に密着しているにもかかわらず、私達が「常に」エネルギーのことを考えているか?と聞かれれば、むしろ実際には全く意識していないというのが実情ではないでしょうか。今回は、そんなエネルギーのことについて、お二人のお話しを伺います。

コンテンツ

エネルギーは空気のようなもの

一般財団法人日本エネルギー経済研究所理事の工藤さんは、「エネルギーは空気みたいなものです」と説明されました。
私達人間が空気を吸うことは目的ではなく、生きるための手段です。これと同じことがエネルギーにも言えます。
エネルギーは経済・社会活動を支えるものであり、エネルギーを使うこと自体が目的ではありません。
でも、だからこそ、エネルギー源の構成変化や量的変化は経済・社会構造が変化したことを示すものであり、その変化を引き起こすドライバーが何か、ということを考えることが、社会変革に応じた新たなビジネス機会を考える契機になるとのことでした。

さらに経団連の提唱するSociety5.0についても触れ、この変革の中でエネルギーは大きな役割を果たしたり、結果として需給構造の変化を遂げるということを、具体例を挙げて説明いただきました。
また、これからビジネスプランを考える受講生に対し、シェアリングエコノミーサーキュラーエコノミーの概念を示し、これとともに、あらゆる部門に存在している「無駄」についての具体例をご紹介いただきました。

エネルギー産業の変革ドライバー「5つのD」

続いてNPO法人国際環境経済研究所の理事・主任研究員として活躍しながら、2018年にはU3イノベーションズ合同会社を設立された竹内さんにお話しを伺いました。

竹内さんはエネルギー産業の変革ドライバーとして以下に示す「5つのD」を挙げられ、これらが全て不可避的、あるいは不可逆的に生じる将来像であると仰いました。

  1. Depopulation(人口減少・過疎化)
  2. Decarbonization(脱炭素化)
  3. Decentlization(分散化)
  4. Deregulation(制度改革)
  5. Digitalization(デジタル化)

たとえば、人口減少・過疎化(Depopulation)を例に取ると、以下のようなシナリオが想定されます。

2050年までに日本国土の6割で人口が半減以下となる
→人口が減少した地域の地価が安くなり、再エネが導入され、電力会社の電気が売れなくなる
→莫大な送配電線維持コストが発生しているにも関わらず、電力会社の電気は売れなくなる
送配電線の投資回収が困難になる

このような予想可能な将来に対し、私達が何をどう選択していくべきかを考えさせられました。

また、デジタル化(Digitalization)については、ビジネスモデル顧客行動の変化に注目し、成果を売る経済に変容していくこと、これに伴い手段であるエネルギーを売っていたエネルギー産業が、成果を売る産業に変革する可能性を示唆され、その実現に向けて起業したU3イノベーションズ合同会社の活動について説明いただきました。

質疑応答・グループワーク

今回の講義は、専門的な分野に踏み込み、かつ遠大な時間軸の内容が語られていたため、質問の内容もクリティカルなものが多かったように感じます。たとえば、このような質問が挙げられました。

  • 電力会社がサービサーとなった場合、小規模電力会社はどのように変革するとお考えか
  • 急激な社会情勢の変化が起こると、電力に関しても国際的ルール策定が行われる可能性もある。現時点で、近未来に発生する構造変革について、どのようなリスクを想定しているか
  • エネルギー産業は、昨今の自然災害に対応するコストをどの程度見込むべきか

興味深いのは、お二人の回答が必ずしも同意見ではないことです。
当たり前と言えば当たり前のことなのですが、「未来は1つではない」ということを体感できた質疑応答でした。

グループワークは,講義の内容に基づき「エネルギービジネスのアイデアを創る」というテーマで行いました。
実は、本講座において学長が「テーマ的にもタイミング的にも、一番難しい」と語るのが今回のテーマです。
受講者のエンジンがまだ十分に暖気されていない状況で、難しいテーマを提示される。さらに「グループのアイデアを足し上げるのではなく、突拍子もないが実現可能性がある、たった1つのアイデアを選ぶ」という条件も設定されます。
前期にも経験しましたが、今回もこのワークショップから受講生のマインドセットが変わる姿を見られた気がします。
グループ発表では、奇抜ながら確かに実現可能性を感じる、ユニークなアイデアが傑出されました。

次回は地域力創造アドバイザー(総務省)大和田 順子講師を迎え、「一次産業を掘り起こす」をテーマに講座を開催します。

お知らせ

当講座では、ご興味を持たれた方の見学・体験を随時募集しています。
ご希望の方は、下記フォームよりお申し込みください。

  • 参加費は無料です。
  • 運営の都合上、申込者1名につき1回のみ参加となっております。
  • 参加人数によってはグループワークへの参加ができない場合があります。予めご了承ください。
  • 学校施設につき入場は18:30以降にお願いします。
  • 当日の写真撮影・録音は固くお断りします。





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