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第9回 ICT/AI/IoTのインパクト(第2期) 開催報告

2019年12月26日
第9回は、講師に相澤 晶子氏と髙橋 智彦氏を迎え、「ICT/AI/Iotのインパクト」というテーマで講義いただきました。

相澤 晶子氏
株式会社 野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 グループマネージャー
2001年株式会社野村総合研究所入社後、システムエンジニアとしてシステム構築・運用を経験した後、システムコンサルタントとして、石油化学、医療機器、物流業、流通小売業など幅広い顧客に対してIT戦略&中計策定・システム化構想・計画・実行を支援。
近年は企業のデジタルトランスフォーメーション実行支援に注力し、デジタルテクノロジーを活用した企業変革の理想と現実の狭間で顧客とともに汗をかく日々。

髙橋 智彦氏
ユニバーサルデザインを最終学歴に、キャリア形成のためデザイン、Web、ITの各業界にて実務経験を経て多種多様なナレッジを統合的に身に着ける。現在は、大手IT企業に常駐しプロデューサーとして従事する傍ら、これまでの経験及び知識を活かし『優しさ×ITの力』で貧困、虐待、障害、過疎化などの様々な社会課題の解決を目的とした複数のプロジェクトを企画立案し取り組む。中でも、発達障害の生涯支援に最も注力している。
プロジェクト名は『RePublic』。
『常識を知って常識を覆す』『頑張るのではなく楽しむ』『人に優しく自分にも優しく』を常に意識し活動。

今から4年前、2015年の12月に野村総合研究所より発表された「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」というニュースリリースは、各所で大きく取り上げられました。まさに今回のテーマ「ICT/AI/IoTのインパクト」を、私達が経験したわけです。
このような時代の過渡期において、私達はどのような生き方を選択し、ICT/AI/IoTとどのように付き合って行けば良いのでしょうか。講義の前半は相澤講師に、後半は髙橋講師にお話しを伺いました。

コンテンツ

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相澤晶子氏

デジタル資本主義への構造転換

まず相澤講師は、前述の野村総合研究所のリリースに触れ、タイトルには語られていない部位について説明されました。
「日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能で代替可能になります。ポイントは『技術的には』という点で、創造性・協調性が必要な業務や非定型的な業務は将来的にも人が担います。通常、(タスクではなく)職業は、人と人との協調・創意工夫のもとに成り立つものです。」また、現代まだ登場していない職業が多く増えていく予測にも触れ、これを受けデジタル資本主義への構造転換は、日本の重要課題であると説明されました。

では、ICT/AI/IoTとはなにか。
簡単に言えば「情報を集める(IoT)」「情報を処理する(AI)」「結果を出す」という仕組みであり、この基盤としてICTがある、ということです。この大枠を理解した上で、それぞれの事例や現状について説明いただきました。

求められるのは、私の「軸」

相澤講師は現代が「テクノロジーが民主化されるとともに、ニーズも多様化している。『誰かの困りごとを、テクノロジーが解決できるかも』ということが実現しやすくなっています。」、「この、創意工夫で新たな価値を生み出すことこそが、人間の力です。」と総括されました。
その上で、この時代に創意工夫で新たな価値を生み出す人間として備えておくべきなのは、デジタルという強いインパクトを持つテクノロジーがもたらす正の側面と負の側面を理解した上で、「誰の、何を解決したいのか」「その根底にある思いは何か」を考え、「何をやるべきかだけでなく、何をやらざるべきか」を判断する「私の軸」を定めることにあるとおっしゃいました。

髙橋智彦氏

スタートアップが失敗する理由は?

髙橋講師は冒頭で「ICTはただの道具。手段であって目的ではないです。アイデア次第で輝けるアウトカムが生まれますが、手段と目的を履き違えると失敗します。大切なのは、課題と基礎と変化を知ることです。」と仰いました。
この上で、いくつものICTソリューションの実例を解説いただきました。ポイントは、成功事例だけでなく失敗事例も解説していただけたこと、特に失敗事例については、その失敗の原因まで解説していただけたことです。
これらの事例を踏まえ、髙橋講師は「ヒト・モノ・カネは大切だけれども、それだけではだめです。最も大切なのはUX(ユーザー体験)です」と総括されました。

テクノロジーの基礎と変化を知る

次に、髙橋講師は「ICTを用いたプロジェクトを遂行する時に大切なのは、テクノロジーの基礎・変化・トレンドを知ることです。」と仰いました。このためには、基盤技術を把握し、難しい用語は自分の言葉に置き換えて理解し、SNSなどを用いて情報サイトのプッシュ配信をフォローすることが大切だそうです。
なぜ、このようなことが必要なのかと言えば、「刻々と変化するICTの分野では深く狭い知識では導入判断を誤ることがあり、むしろトレンドを広く浅く抑えておくことの方が重要だから」です。
なお、今回は事例紹介と導入判断を中心に講義いただきましたが、髙橋講師のプレゼン資料は25分の持ち時間に対し60ページ超も準備されています。説明しきれないことを前提に、受講生はいざICTソリューション検討・実装の段階で必要となるノウハウを全て資料として持ち帰りました

質疑応答

今回の講義はICT/AI/IoTというテクノロジーベースの分野であったわけですが、受講生からの質問は「AIに学習させる人間の倫理感はどうあるべきか」「シンギュラリティが到達し、たとえば『銃で人を撃つことは正しい』とAIが判断した場合、本当に人間はそれに抗えるのか」など、講義テーマから遠いイメージのある製造者倫理に集中したことがとても印象的でした。
新たなソリューションを世に送り出す際、製造者が期待していた正の側面と同時に、想像もしていなかった負の側面が顕在化することは、これまでの歴史でも散見されることです。
受講者が目指す社会課題の解決についても同じことが言え、社会課題の解決を目指して世に送り出したソリューションが、思いもよらない新たな社会課題を生み出してしまうことも想定されます。
相澤講師の仰った「製造者の軸」、髙橋講師の仰った「大切なのはUX」は、これらのことを考える上で、非常に大切なキーワードなのだと感じました。

グループワーク

当校では、各回のグループワークにおいて発表されたビジネスアイデアをSDGsに紐付け、独自の集計を行っています。
第2期講義も終盤に差し掛かりましたが、第1期と同様「『5.ジェンダー平等を実現しよう』の課題解決がビジネスモデルとして顕出しない」という傾向が表れています。
同様に低い結果となっているのは「6.安全な水とトイレを世界中に」ですが、この問題は日本においてほぼ解決している一方で、ジェンダーについてはついこの間さらに順位が下がったというニュースが報じられたばかりであり、これは深刻な状況であると考えています。

今回のグループワークでは「ICT/AI/IoTを駆使してSDGs-5を解決する」をテーマに実施しました。
普段のグループワークでは性別・年齢などが均等となるような配慮をしたグループ分けをしますが、今回は「女性チーム」「男性チーム」に分け、それぞれのアイデアを検討してもらいました。
この方が、顕出したアイデアに潜むジェンダーギャップを受講者が把握できる
だろうことを狙っての試みです。

アンケートの結果には、グループワークによって、異性の考えていることや課題が理解できたという感想が記載されていました。

次回は、本校学長杉浦より、「スポーツ・エンターテインメントとのコラボレーション」をテーマに講座を開催します。

お知らせ

当講座では、ご興味を持たれた方の見学・体験を随時募集しています。
ご希望の方は、下記フォームよりお申し込みください。

  • 参加費は無料です。
  • 運営の都合上、申込者1名につき1回のみ参加となっております。
  • 参加人数によってはグループワークへの参加ができない場合があります。予めご了承ください。
  • 学校施設につき入場は18:30以降にお願いします。
  • 当日の写真撮影・録音は固くお断りします。





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