2019年11月21日
第4回は、講師に岩谷忠幸氏を迎え、「気候変動とレジリエンス」というテーマで講義いただきました。
岩谷 忠幸氏
東京都立大学理学部 地理学科 気候学専攻を卒業後、民間気象会社にてラジオなどの気象解説を担当。気象予報士制度がスタートした年から、フジテレビや日本テレビの気象キャスターとして約15年間出演。現在は日本テレビで気象デスクを担当。NPO法人気象キャスターネットワークを創設し、気象防災教育や地球環境教育を実践。「プロが教える気象・天気図のすべてがわかる本」(ナツメ社)監修。
2018年の流行語大賞に「災害級の暑さ」という言葉がノミネートされていたのを覚えているでしょうか。
過去には「ゲリラ豪雨(2008年)」「爆弾低気圧(2012年)」「線状降水帯(2017年)」などがノミネートされ、2019年も「命を守る行動を」がノミネートされています。
「災害級の暑さ」については、真夏には40度を超える暑さが当たり前になってきた現在、この猛暑が原因で70,000人ほどが病院に搬送され、1,000人ほどが亡くなられるそうです。
「命を守る行動を」については、ここ数年で国からの発表に変化が出てきているそうです。かつては堤防などに象徴されるインフラで守られている前提での発表が、インフラの限界を超える災害が発生するようになったことで、「逃げてください」と発表されるようになりました。
このように、新たなキーワードが毎年のように発生するほど急激に重篤化している気象災害ですが、まだまだ「危機感の共有が課題です」と岩谷講師は語ります。
今年の台風19号を例にとれば、5日前には大雨の予想が発表され、3日前・1日前に緊急記者会見が開かれ、災害規模の大きさを伝えるための努力がなされました。それにもかかわらず、90名を超える方が亡くなりました。
岩谷講師は、危機感をより多くの人に伝えるためのアイデアを作るための協力を受講者に仰ぎ、これがグループワークのテーマとなりました。
後半は、『気候変動とレジリエンス」時代のソーシャルビジネスを創る』と題し、グループ毎にアイデアを練りました。グループワークの途中には岩谷講師もその輪に加わり、アイデアの確認や質問をされていました。
出来上がったアイデアをそれぞれのチームから発表、グループ毎に個性のあるものとなりました。
最後に、岩谷講師からの講評がありましたが、今まで気象キャスターネットワークでも考えていなかったアイデアが多数出たとのこと、新たなビジネスのシーズを感じられたのではないでしょうか。
次回は一般財団法人 日本エネルギー経済研究所工藤 拓毅講師、U3イノベーションズ合同会社の竹内 純子講師を迎え、「エネルギーのこれから」をテーマに講座を開催します。
one more thing:講師の選定について
講義していただく講師を選定するにあたり、当校が大切にしていることがあります。
その1つはウェブサイトやパンフレットで説明している通り「先駆的である」ことです。ソーシャル・ビジネスのスタートアップは、それ自体が「先駆的な試み」となります。その一歩を既に踏み出している、あるいは踏み出そうとしている方の講義が、受講者の心の障壁を下げ、一歩踏み出す勇気を与えるきっかけになって欲しいという狙いが込められています。
もう1つが、実際に起業されている方を多く選定していることです。新たな試みには、様々な障壁があり、思いも寄らないところで躓くことがあります。
当校では、起業を経験されている講師の方に、その経験を語っていただくようお願いしています。
今回の岩谷さんはNPO法人と株式会社を立ち上げた際の苦労話を「認知されることの難しさ」「資金繰りの大変さ」「継続することの大変さ」という観点からお話いただきました。
先駆者から学べることは、成功だけではありません。むしろ、先駆者の失敗や苦労から学ぶことこそ、新たな挑戦をする方には大切な学びであるかもしれません。これ以降の講師の方にも、起業を経験された方が多数いらっしゃいます。起業経験者から多くを学び取っていただきたいと思います。
お知らせ
当講座では、ご興味を持たれた方の見学・体験を随時募集しています。
ご希望の方は、下記フォームよりお申し込みください。
- 参加費は無料です。
- 運営の都合上、申込者1名につき1回のみ参加となっております。
- 参加人数によってはグループワークへの参加ができない場合があります。予めご了承ください。
- 学校施設につき入場は18:30以降にお願いします。
- 当日の写真撮影・録音は固くお断りします。