2020年1月9日
第10回は、当校学長である杉浦が講義を務め、「スポーツ・エンターテインメントとのコラボレーション」というテーマで講義いたしました。
杉浦 正吾
株式会社プラチナマイスター代表取締役 博士(環境学)
サステナビリティ・ディベロッパー。ソーシャルコミュニケーションおよびCSR・CSV領域、地方創生領域における大手企業や自治体のコンサルティングを手掛けながら、三井物産と探究型ESD「サス学」の開発・実践を通してSDGs・4-7推進に力を注ぐ。朝日新聞とのアライアンスを中心に、ワークショップデザイン・ファシリテーションや、講演など多数。日本環境共生学会・論文賞受賞(2010年)。武蔵野大学客員教授。1965生。
昨年のラグビーワールドカップは、日本代表の大善戦により日本も大いに盛り上がりました。そして今年はオリンピック・イヤー。また数々のドラマが生まれることでしょう。私達の心を大きく動かすアスリートやアーティストの発言は、とても大きな影響力を持っており、時にソーシャル・イノベーションにおいて大きな役割を果たすことがあります。
今回の講義では、杉浦が過去実際に行った活動を例として、インフルエンサーとともに行うソーシャル・イノベーションの実践論と重要なポイントについて話をしました。
コンテンツ
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技術に頼らずに人の心を動かす
環境問題を解決するためのテクノロジーや技術は日々進歩していますが、それと同時にそれぞれの一個人が日々、どのような活動を心がけるかも重要です。ただ、頭ではわかっていても、実際にアクションに落とし込むことの困難さは、多くの人が感じていることです。
そのような中、技術に頼らずに人の心を動かす方法があります。それはインフルエンサーからの呼びかけです。
自分が日々応援しているクラブチームのアスリートや、大好きなアーティストからの呼びかけをキッカケにして、行動規範が変容することがあります。
・・・ということは、感覚として理解することはできますが、果たしてその効果を測ることはできるのでしょうか。
定量化がとても重要
例えば、イベントを通じてCO2削減を目指すプロジェクトを実施するのであれば、実際にどれくらいのCO2を削減できたのかが定量化できなければ、効果を測定できません。そして、具体的な費用対効果が定量化できないプロジェクトでは、協力者を募ることが難しくなります。
つまり、ボランティアとしての社会貢献活動ではなく、ビジネスとして社会課題解決を行う場合、定量化が重要なファクターとなります。そして、そのためには、事前の仮説と、事前・事中・事後の細やかなデータ取得が鍵となります。
これは地味で大変な作業ですが、効果は非常に大きなものとなります。例えば、定量化アプローチの結果、以下のようなことが期待できます。
- 費用対効果の定量化
イベントを契機に行動変革した人の活動が削減したCO2の削減量を、年間●●kgと具体的に定量化できる - 実現係数の予測
将来実施を検討しているイベントについて、事前にその実現性や効果を予測することができる
ステークホルダーの調整も重要
スポーツ・エンターテイメント分野において、ソーシャル・アクションを実施する際に注意しなければならないもう1つのポイントとして杉浦が語ったのが、ステークホルダーとの調整です。
とりわけ、スポーツでは、その性質上、常に相手チームやリーグというステークホルダーが存在します。任意の1チームからの要望に応えた企画を立案し、その企画がどれほど完璧で、社会の役に立つものであったとしても、ステークホルダーとの合意形成ができなければ、企画そのものが頓挫する危険性があります。
具体的な失敗事例について、杉浦が実際に体験した事例とその企画内容について解説しました。
現在、ビジネスを行う際にステークホルダーを考慮しないケースは無いと思いますが、「社会に良いこと」と信じて行うプロジェクトにおいては、「ステークホルダーの合意は取れて当然」と考えてしまいがちです。実行段階において思わぬところで躓くことのないよう、気をつけたいポイントです。
グループワーク
今期、最後のグループワークとなる今回は「スポーツ・エンタメの力でSDGs12(つくる責任つかう責任)を解決する」をテーマに実施しました。SDGs12は、前回と同様、日本が苦手としているテーマの1つです。
さらに今回は、以下の条件が付与されました。
①具体的に、どことタイアップするかを明確にすること
②何を定量化するかを明確にすること
最後のグループワークということで、今までの中で最も難しいテーマでしたが、各グループからはそれぞれの問題意識から派生した、興味深いアイデアが発表されました。
次回は、一般社団法人Think the Earth理事の上田 壮一講師より、「ソーシャル・デザイン」をテーマに講座を開催します。
one more thing 最終課題について
当校では、プラチナマイスター認定の最終課題として、自らの活躍プランを発表していただきます。
概要は以下の通りです。
- プロジェクトタイトル
- プロジェクトのカテゴリー
起業・個人的なアクション・社内プロジェクト・提携先とのコミット - プロジェクト概要
世の中におけるニーズと提供価値、そのためのアクション - 対象とのチャネルづくり
顧客とどう繋がるか、そのためのパートナー - 重要なパートナー
実現のために必要なアライアンスパートナー - マネタイズ方法と収支計画
コスト構造の概算(イニシャル・ランニングコスト) - スケジュール
- 関連するSDGs
次週までにラフな企画を書き上げ、さらに再来週には山田メユミ講師の前でプレ・プレゼンを実施します。
自己が策定した企画を、日本屈指のアントレプレナーである山田メユミ氏にコメントいただく機会を得られるということは、当講座の大きな特徴の1つです。
それだけにプレッシャーのかかる体験だとは思いますが、無事この課題をクリアし、それぞれが立案したプランが社会実装されることを支援して参ります。
お知らせ
当講座では、ご興味を持たれた方の見学・体験を随時募集しています。
ご希望の方は、下記フォームよりお申し込みください。
- 参加費は無料です。
- 運営の都合上、申込者1名につき1回のみ参加となっております。
- 参加人数によってはグループワークへの参加ができない場合があります。予めご了承ください。
- 学校施設につき入場は18:30以降にお願いします。
- 当日の写真撮影・録音は固くお断りします。